なるほど!痛みの治療 知っておきたい 糖尿病と痛み

HOME > なるほど!痛みの治療 

糖尿病性神経障害の治療の基本

糖尿病性神経障害の治療の基本は,血糖コントロールを良好に保つことです。そのためには食事療法と運動療法をきちんと行うことが必要です。

これらは疼痛の有無にかかわらず重要なことです。現在,神経障害を治せる決定的な薬はありませんので,血糖コントロールを良くしないことにはどんな治療もうまくいかないのです。逆に, 血糖値をコントロールできれば,神経障害の発症や進行を抑えられることがわかっています。

飲酒や喫煙は神経障害を悪化させるものですから,禁酒・禁煙も指導されます。

糖尿病性神経障害の治療の基本

 

糖尿病性神経障害に伴う疼痛に対する薬物療法

糖尿病性神経障害に伴う疼痛に対する薬物療法

糖尿病性神経障害に伴う疼痛がつらい患者さんには,血糖値と食事・運動習慣の改善に加えて,それぞれの症状に合わせた薬物療法も行われます。

軽い痛みやしびれを改善する治療では,アルドース還元酵素阻害薬(ARI)が処方されることがありますが,基本的にARIは神経障害の起こるメカニズムに対して抑制効果がある薬剤であり,疼痛そのものを改善するために作られた薬ではありません。痛みの程度が軽い患者さんでは,非ステロイド系の鎮痛薬が効くことがあります。

痛みの症状がある場合には,糖尿病性神経障害に伴う疼痛に適応を持つ鎮痛薬や,抗うつ薬が使われることもあります。抗うつ薬による鎮痛効果は,かなり強い疼痛にも有効であることが確認されています。(※2)

また,そのほかの抗精神病薬や抗けいれん薬,抗不整脈薬,麻薬などの服用も考慮されますが,中には健康保険が使えないものもあります。

いずれの薬もほかの病気への影響を考える必要があり,使用には医師の注意深い観察が必要です。(※3)

※2 日本糖尿病学会編「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2010」,南江堂

※3 日本糖尿病学会編「糖尿病治療ガイド2010」,文光堂

 

進行を防ぐ!毎日の足チェック

糖尿病性神経障害が起こり始めている患者さんでは,足先の痛みやしびれ,感覚異常,こむら返りなどが生じやすくなります。神経障害が進行すると,靴ずれやたこができやすくなったり,小さな傷に気づかなくなったりします。感覚が低下するため,痛みやかゆみを感じにくく,手当てが遅れがちになるのです。

小さな傷が治らないまま,ひどい潰瘍になることもあります(糖尿病足病変といいます)。足を切断する糖尿病患者さんは年に約3000人もいますが,その最大の原因は靴ずれなのです。

こうした事態を避けるためには,主治医による定期的な足の診察が必要ですが,それ以上に患者さん自身が毎日,足にケガややけど,ささくれなどがないかを丁寧にチェックし,足の爪やかかと,指の間,皮膚の手入れを習慣にすることが極めて大切です。家族に足をチェックしてもらうのも良いでしょう。

足を清潔に保つ努力が,糖尿病足病変を進行させないための大事な一歩になります。

毎日の足チェック ~こんな症状ありませんか?~